

ひびり
監督 新井哲 脚本 新井哲
出演 加藤めぐみ 前川桃子
(19分55秒)
姉は、着替えとイノチだけを持って来た。
離れて暮らす姉妹が、再び同居した数日の話。姉は秘密を抱えているが、妹はそれに触れないつもりである。その秘密は、透明なガラスに潜む無数のひびに似ている。光に透かしてみれば浮き出る傷たち。平然と日々を過ごす姉は、本当はいつから壊れてしまっていたのか。
物語は、一人暮らしの愛のもとにかかってきた、母からの1本の電話で始まる。姉の響子が、愛の家でしばらく同居するのだと言う。渋々引き受ける愛。同居するのは中学校の時以来だ。とりあえず、姉のために、タンスの一段を空けた。お互いにやり過ごすだけの二人きりの生活は、小さな事故がきっかけとなり、崩れていく。


新井哲 あらい さとし
1978年・茨城県生まれ

一見、透明に見えるコップも、光にかざせば無数のひびが潜んでいます。それは、いくつもの心の傷を隠しながら、平然と日々をやり過ごす人間の姿に重なります。
本作では、心の内を明かせない、近くて遠い姉妹関係の「揺れ」を描きながら、捉え所のない人間の存在のシンプルな肯定を目指しました。一つの希望の形を感じていただけたらと思います。

